コロナワクチンによる心筋炎、心膜炎について
コロナウイルスワクチンを接種した方が心筋炎や心膜炎を発症したという報告があります。
頻度としては100万回接種あたり数件程度です。かなり稀な事案ではありますが患者さまからも質問をよく頂きますので解説いたします。
(心筋炎、心膜炎とは)
心臓の筋肉(心筋)、心臓を包む膜(心膜)に炎症が生じる病気です。心筋と心膜は接しています。よっていずれかの炎症が片方に波及する、つまり心筋炎と心膜炎が同時に発症することもあります。
(原因は?)
【心筋炎】
・感染(ウイルス、細菌、真菌、寄生虫など)
・自己免疫性疾患(膠原病含む)
・炎症性疾患
・薬剤
・アルコール含む化学物質
・放射線療法
・原因不明(特発性)
【心膜炎】
・感染(ウイルス、細菌、真菌、寄生虫など)
・自己免疫性疾患(膠原病含む)
・炎症性疾患
・薬剤
・腎不全
・心臓手術
・胸部外傷
・放射線療法
・原因不明(特発性)
(なぜワクチン接種で起こるの?)
原因はよくわかっていません。ワクチン接種によって活性化された免疫システムが心臓に悪影響を及ぼした結果ではないかと言われてます。インフルエンザに対するワクチン接種でも報告があります。
(どんな症状を認めますか?)
胸の痛み、違和感に加えて心不全(心臓が弱る)を来した場合は息切れ、倦怠感、動悸なども出現します。不整脈を認める場合もあります。また発熱を認めることもあります。
(どのようにして診断をするの?)
心臓に限局した炎症やそれに伴う心不全などの有無を評価する必要があります。採血、心電図、エコー、胸のエックス線写真検査などを行います。
(治療はどうしますか?)
軽症は鎮痛剤の投与、安静で経過をみます。心不全やそれに伴って不整脈を発症した場合は専門機関と連携のうえ、より専門的な治療が必要になる場合があります。
(私の見解)
ワクチン接種後に見られる心筋炎、心膜炎のほとんどが軽症です。つまりほとんどの方が軽快しています。よって「ワクチン接種のメリットはリスクを上回る」と考えます。