息切れについて
息(呼吸)が苦しくなることを「息切れ」と表現します。健康な人でも、走ったり階段を駆けのぼったりすると、息切れは自覚します。
しかし、ちょっとした動作や安静時にも息切れを起こすのは問題です。呼吸をつかさどる肺の異常をまず考えますがそれ以外にも心臓や血管の病気、そして血液の病気など原因は様々です。
また最近ではコロナウイルス感染後に息切れが長期に渡り持続する症例が増えています。コロナ後遺症です。
どうして息切れを感じるのか?
多くの方が「肺が悪くなったから息切れが生じる」とお思いだと思います。
実は肺の問題だけでは説明できる現象ではないのです。
安静時、運動時、病気の時など、その場面それぞれで適切な酸素や二酸化炭素の量が決められています。
その量を調節するのに関与している臓器、部位には①肺②肺を動かす横隔膜や肋骨の筋肉③心臓(肺に供給する血液の量を調節)などがあります。
これらには「センサー」がありその状況を脳の「呼吸中枢」に伝えています。息切れは、センサーを通じて呼吸中枢に伝えられた情報に対して脳が「不快だ、不十分だ」と感じた際に生じます。
どんな病気で息切れが生じるのでしょうか?
以下のような病気が挙げられます。肺の病気だけではありません。
①肺の病気
肺炎・胸膜炎・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・気管支喘息・咳喘息・感染後咳嗽(風邪の後の咳、コロナ後の咳)・気胸・肺がん・過換気症候群など
②心臓の病気
狭心症・心筋梗塞
心不全・心筋症
不整脈
弁膜症
③血管の病気
肺血栓塞栓症・肺梗塞など
④血液の病気
鉄欠乏性貧血・白血病など
⑤その他の病気
肥満、甲状腺機能亢進症・不安神経症・うつ病・自律神経失調症など
日常生活で心がけることはありますか?
息切れの原因(病気)が判明したらその病気それぞれに対する治療を行うことが鉄則です。
ただし以下に記す生活習慣はほぼ全ての方に推奨されます。
- 規則正しい生活
- 感染を避ける
- 他の病気(生活習慣病、整形外科的疾患、悪性腫瘍など)をしっかり治療してコントロールする。
- 適度に運動をする。具体的には生活習慣病をお持ちの方であれば少し息切れが生じる程度のウオーキングを週に3-5回、1回あたり15-30分以上などが推奨されています。
コロナが蔓延し在宅勤務の増加、外出頻度の減少などで運動不足の方が増えています。リハビリテーションの機会が減ったお年寄りの方は呼吸筋の機能低下を招き、息切れを訴える方が増えています。
また息切れ、咳、痰はコロナ後遺症の典型的な症状でもあります。心配な方は当院にご相談ください。
当院では息切れ外来を設けて、診断・治療に取り組んでおります。
息切れの原因は、早急に医療機関の受診が必要なものから経過を観察するだけで良いものなど様々です。
当院では問診、診察に適切な検査を組み合わせて原因を特定し、適切な治療や、必要であれば総合病院の専門外来へ紹介を行っております。