「心房細動」のお話
目次
今回は「心房細動」のお話をいたします。
芸能人、有名人のお名前を記します。
- 長嶋茂雄;読売ジャイアンツ名誉監督
- イビチャ・オシム;元サッカー日本代表監督
- 小渕恵三;元首相
- 田中角栄;元首相
- 橋本龍太郎;元首相
- サッチャー;元イギリス首相
- 三浦雄一郎さん;冒険家
この方々に共通するのは「心房細動」です。
のちほど解説しますが心房細動は日々の生活の質を低下させるのみならず血栓症で寝たきりになったり心不全を発症させたりします。場合によっては命にかかわる状況に陥ります。
重要性をもっと啓蒙しようと公共広告機構「ACジャパン」も以下のようなサイトを公開しています。
https://www.ad-c.or.jp/campaign/support/support_04.html
最近では元プロレスラーの高田延彦さんが闘病記を公開しています。
(オリコンニュース)
https://www.oricon.co.jp/news/2336581/full/
(日刊スポーツ)
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202407210000002.html
(心房細動とは?)
心臓の収縮は右心房にある洞結節から発せられる規則的な電気信号が発端となり始まります。1分間に60~100回程度、規則的に動くことで効率よく血液を全身に送り出すことが出来ます。しかし心房細動が発生すると複数かつ不規則な電気信号が心房内で生じる状態となり、1分間に数百回の速さで心房が細かく震えます。結果として心房は常に痙攣(けいれん)したような状態となり、心房の電気の伝わり方が無秩序になるのです。生活の質を落とすような症状(脈の乱れ、動悸、めまいなど)が出現します。
(心房細動の原因は?)
加齢は心房細動の大きな原因の一つです、70歳代の5%、80歳代の10%程度の割合で起こるといわれています。また高血圧、糖尿病、心筋梗塞・弁膜症などの心臓病や、慢性の肺疾患のある方は発生しやすく、他に肥満やアルコール・カフェインの過剰摂取、睡眠不足、精神的ストレスも原因となります。
(心房細動の何がいけないのか?)
生活の質を落とすのみならず他にも大きな問題が二つあります。「心不全」と「血栓症」です。
(心不全になぜなるのか?)
心房細動を放置すると長期にわたって脈拍が異常に増加した状態(頻脈)が続くことになり、心臓の心室の収縮力が徐々に低下します。つまり全身に血液を送り込むポンプの役割を担う心臓が弱まってしまうのです。その結果心不全となります。心不全は慢性化すると寿命を縮めます。心房細動がある人は、ない人に比べて心不全が約4倍ほど起こりやすくなります。
(血栓症について)
心房細動になると、心房の中で血液がよどみ、血の塊(血栓)ができやすくなります。
この血栓が心臓外に飛び出すことにより臓器に詰まって血栓症を引き起こすのです。典型例が脳に詰まる脳梗塞です。心房細動がある人は、ない人に比べて脳梗塞が約5倍ほど起こりやすくなります。
(治療はどうするの?)
治療には次の3つの方法が柱となります。
1)抗凝固療法
2)正常な心拍の維持
3)適切な心拍数にコントロールする
具体的に解説します。
1)抗凝固療法
心臓内で血栓が形成され心臓外に飛び出て臓器に詰まるのが血栓症です。これを防止する目的で抗凝固薬を投与します。この薬を使用することにより血が固まりにくくなる⇒血栓が出来にくくなります。一方、出血しやすい状況となるため注意深く専門医が経過をみます。
2)正常な心拍の維持
心房細動の発症自体を抑える治療法です。過去には薬の使用が治療の柱とされていましたが近年はカテーテルを用いた根治術(カテーテルアブレーション)を積極的に行っています。
3)適切な心拍数にコントロールする
正常な心拍にする治療が難しい場合は「心房細動は存在する」ものとして対応しなければなりません。その際は過剰な心拍上昇を来たして生活の質を低下させたり心不全を発症させることが無いように心拍数を適正化させる薬を使用します。
以上、心房細動について解説しました。
心房細動は「脈の異常」が特徴的です。自分の脈は大丈夫だろうか?そう思う方は是非とも「検脈」をお勧めします。
次の動画をご覧ください。